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mAI Economy / Window Guidance as Code

AIで金融を再発見する

信用創造を基礎に、AI版の窓口指導を考える。

新しく生まれた信用は、生産や資産の購入にどう使われ、どこで脆弱性を生むのか。その過程をモデル化し、信用の誘導によって何が変わるかを検証する研究です。

Toppyの研究テーマの一つ 信用創造・誘導シミュレータは設計段階

研究の問い

信用が生まれるところから考える

出発点は、リチャード・ワーナーの信用数量説(Quantity Theory of Credit)です。信用の増加を総額だけで捉えず、GDPに計上される取引への信用と、既存資産の取引への信用を分けます。[1] Thermo-Creditの状態変数とAIによる誘導は、この考え方を踏まえて私たちが検証する拡張であり、ワーナーの研究成果そのものではありません。

銀行が融資を実行して口座に入金すると、預金と借入債務が生まれます。ワーナーの2014年論文は、協力銀行の会計記録を調べ、この過程を実証的に検討しています。[2] ただし、貸出は無制限ではありません。借入需要や採算、自己資本、決済に必要な資金に制約されます。モデルでは、融資後の支払い、返済、損失まで追います。[3]

この過程に、窓口指導のような信用誘導を組み込みます。目標を示しても、そのとおりに貸出が増減するとは限りません。銀行の対応も借り手の計画も変わり、対象外の金融機関へ資金調達が移ることもあります。日本の窓口指導の経験も、こうした迂回経路を考える手がかりになります。[4]

モデル化する循環。政策の有効性を示した図ではありません。
  1. 01誘導条件目的と貸出の目標範囲
  2. 02銀行・借り手の反応貸出判断と借入需要
  3. 03信用創造と支出使途・返済・損失
  4. 04経済への影響生産・価格・財務状態

観測した結果とモデルの誤差を、次の誘導条件の見直しに戻す。

基礎理論

会計を土台に、因果の仕組みを検証する

信用を取引関係として記述する

誰が誰に、どの条件で貸したか。使途の根拠は何か。これらを記録し、支払いの相手側の帳簿まで整合させます。新たな生産への支出と、既存資産の売買、借り換えを分け、分からない使途は未分類のまま残します。

観測データ、行動についての仮定、政策上の目的を混ぜず、AIが読み取れる形式で扱います。

Thermo-Creditで何を測るか

信用の構成やストレスを少数の変数にまとめたとき、誘導案の比較に必要な情報が残るかを調べます。

熱力学に着想を得た変数は、通常の財務指標と比較する候補です。経済の法則や、安全な貸出余力を示す基準として確立したものではありません。

現在の測定と初期の理論ノート(英語)

AIの役割

仮説を作り、誘導ルールを比較する

研究では、AIを使って複数の仕組みを仮説として組み立て、どのデータや実験なら見分けられるかを考えます。過去の出来事をうまく説明できても、それだけで法則を発見したことにはなりません。

シミュレータでは、その時点で観測できる情報からAIに誘導案を提案させます。固定ルールと、仕組みの分かる単純な適応型ルールを比較対象に置き、モデルの想定が外れる場合も試します。

何を目指し、どの手段を認めるかは制度側が決めます。誰が利益を得て、誰がリスクを負うのか。どの仮定で結果が変わるのか。判断材料を示し、トレードオフは人が検討できるようにします。

現在地

測定から、信用の循環を試す段階へ

公開済み

測定コードと研究資料

Thermo-Creditには、地域別ダッシュボード、測定論文、JSON・CLI・MCPのインターフェースがあります。日本の指標が測るのは借り手の構成であり、個々の融資の最終使途ではありません。EU・USでは、より粗い代理系列を使っています。

既存のシナリオ機能は、指定した変化を計算に反映するものです。銀行が誘導にどう反応するかは、まだ計算しません。

次に作るもの

小さな信用創造シミュレータ

まず、貸出・支払い・返済・損失の帳簿が合うモデルを作ります。その上で、同じショックに対し、無誘導・固定ルール・適応型誘導を比較します。

誘導に従わない場合、別の調達先に移る場合、行動の仮定が外れる場合も試します。調整用と評価用の条件を分け、改善した例だけでなく失敗も公開します。

モデルと評価の計画(英語)

単純なルールをAIが上回らなければ、単純な方を残します。Thermo-Creditの変数で判断に必要な情報が失われるなら、表現を見直します。シミュレーションの結果だけで、実際の政策効果が分かるわけではありません。

出発点となる文献

[1] Werner, R. A.(2012), Towards a new research programme on “banking and the economy”, International Review of Financial Analysis, 25。信用数量説と信用の使途別分解。

[2] Werner, R. A.(2014), Can banks individually create money out of nothing?, International Review of Financial Analysis, 36。銀行の会計記録による信用創造の検証。

[3] Jakab & Kumhof(2015), Banks are not intermediaries of loanable funds, Bank of England Working Paper 529。銀行貸出による貨幣創造のモデル。

[4] Fukumotoほか(2010), Effectiveness of Window Guidance and Financial Environment, 日本銀行レビュー。金融環境の変化と窓口指導の限界。いずれも設計の参考文献であり、mAI Economyの有効性を示した研究ではありません。

共同研究のご相談:info@toppymicros.com

2026年9月8日更新。研究段階であり、実際の融資や政策を運用するシステムは提供していません。